大沢池 

朽葉(くちば)積む名のみ名古曾(なこそ)の滝の(あと)  神保朋世 

嵯峨天皇の離宮であったのを精舎にしたのが大覚寺である。

代々皇族が住職になる門跡寺、そこにある池だ。

壮年時代、土手で休み桜花を観賞した記憶がある。
 

三沢(さんさわ)の池とは、奈良の猿沢池と広沢池とこの大沢池である。 

池の北の畑の中に、名古曾の滝がある。

百人一首の大納言(だいなごん)(きん)(とう)の歌、 

滝の音はたえて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞えけれ 

が歌われたのがこの滝である。

近くには、一群の石仏群がひっそりと並んでいる。

観音、弥陀、大日、釈迦、薬師さんたち、優美で気品ある石仏である。

                岫雲斎圀典