有為(うい)有能(ゆうのう)が寧ろ害

本当に出来た人であれば、多少仕事が出来なくとも、その人の存在だけで重量、

即ち安定性があります。

上に立つ者が、小うるさくて、下にまかさず自分でやってしまうと、下に居る者は

まことに厄介で、そういう人に限って人を皮肉に見たり、軽んじたりしがちであります。

こういう人は、一部局というような地位では有為有能でありますが、

多くの人間を活用してゆかなければならぬ立場に立ちますと、

この有為有能が寧ろ害になることがよくあります。

智恵才覚と言ったものは余り外へ出さない方がよいということは、言うまでもありません。

人間的に立派な人は、才能というような点から批評すると、いささかと鈍であっても、

こういう人はその社会なり、会社なりを落ち着かせる力があります。

            安岡正篤先生の言葉