4月19日 貧乏 その二
三浦梅園先生、幕末大分の哲人であり碩学であります。先生の少年時代の記録が「梅園全集」付録の「逸話集」に出ております。これは私が非常に好きな話なのです。「三浦梅園先生の始めて綾部絅斉(けいさい)先生の門に入りし時は、絅斉の年六十六才なりき。豊後(ぶんご)の一村の富永より杵築(きつき)城下へは山越四里許(やまごえよんりばかり)なるを、十六歳の一少年は日々経(けい)を抱きて往復するに、常に跣(はだ)足(し)なりき」