末期迎えたコソ泥政党 佐野真一 作家 

1.   全て危機意識の無さの一言に尽きる。民主党政権のテイタラクは、八百長騒動で存亡の危機に瀕しながら、ケータイ電話を壊したと児戯同然のウソをつく角力取り連中と何ら変わらない。

民主党政権が末期症状に陥っていることは、前総理の鳩山由紀夫が普天間基地の移転先を「最低でも県外」と食言し、その約束を破ったことに激怒した沖縄県民が、鳩山訪沖の際、「怨」や「ヤマト」というプラカードで抗議したことに象徴されている。

「怨」という激越な文字がデモで使われたのは、水俣病闘争以来である。沖縄ではずっと禁句になっていた「ヤマト」という文字を見た時、沖縄県民は、この裏切り行為を“第二の琉球処分”だと感じているな、と思った。

だが、そんな感受性を持った民主党議員は皆無だった。それどころか、鳩山は「抑止力は方便」と発言して、沖縄県民を怒らせるというより、あきれさせた。沖縄では鳩山の”抑止力“は”ゆくし力“の意味である。沖縄言葉で”ウソ“の意味である。

次ぎの菅直人も就任早々、尖閣諸島付近に侵入した中国船の船長を即時釈放したばかりか、それは那覇地検が独断でやったことだとほざいて、またしても沖縄に責任転嫁した。

彼らは、これをしもマニュフェストに謳った“地方分権”の証だと強弁するのだろうか。これは極めて高度な外交問題だから仕方なく指揮権を発動した。民主党がなぜ、そう正々堂々と言えないのか。

それだけではない。民主党は公約に掲げた「在日米軍再編見直し」や「在日米軍駐留費経費負担(思いやり予算)削減」を投げ捨てて“思いやり予算”を5年間維持したことや、普天間の移設先として候補に登っている辺野古のある名護市への補助金を打ち切るなど自民党でさえ恥ずかしくて出来なかったことをコソコソやっている。 

こんなコソ泥のような政党だから、政治家としてはとっくに退場勧告されている小沢一郎に何時までも引導を渡せないのである。こんな半人前にもなれない政党が、日本と日本人を幸せに出来る筈がない。 

2.   歴史観欠如。この一言以外に言葉がない。これが、日本と日本人を丸ごと抱きしめる愛情と気概を失わせた諸悪の根源である。 

3.   次世代に渡すべき財産を日本は殆ど失ってしまった。角力や歌舞伎など日本の伝統芸能の不祥事続出騒動を見れば、それは歴然としている。それが、“失われた20年”の偽らざる実感である。 

 自戒を込めて言えば、こうなってしまった以上、若い世代は先行世代から何も学ばないという覚悟が必要なのではないか。

 悲しいことだが、それが将来のり日本に期待できる唯一の道である。