桂離宮

御書院(ごしょいん)の南にひくき芝庭(しばにわ)

   日向(ひなた)になりて紅葉(もみじ)の樹むら  中村憲吉 

「桂離宮は伊勢の外宮と同じく、日本の建築術が生んだ世界的標準の作と称して差し支えない。

日本的思想のもつ、純正、典雅な要素は、奈良時代から一千年を経たこの時に於て、その間に分化した種々な手法と精神の哲学的洗練と結合して、今一度離宮に集注したのだ」とブルーノ・タウトの「日本美の再発見」に書かれている。 

桂離宮は、「簡素の美」で貫かれている。

黒と白の格調を生かした「精神美」であり、茶道の言う「和敬清寂の心」も汲みとれる。 

修学院と共に京都の大規模庭園の双璧である。 

菖蒲(あやめ)()え書院さだかに影置ける   水原(しゅう)桜子(おうし) 

              岫雲斎圀典