安岡先生の言葉より 平成244月例会    徳永圀典選

 

人間の本質とは

「明朗・清潔・正直・同情・勇気・義侠・反省・忍耐という徳性、これが人間の本質」。

能力のうち最も大切なものは知能でありますが、徳性に比べるとこれは枝葉のものであり、人間の脳細胞は体の外の部分と違いまして、生れた時既に一生に必要な全量を具備しております。この脳髄は三才にして、既に大人の80l発達しています。理解力、推理力、記憶力、想像力、注意力等早くから発達いたしまして、修練しないと案外早く停頓します。

それからは人生は習慣の織物とも称されています。

躾というものの意義はこの良い習慣を養うことであります。徳性と知能、そして良い習慣を磨き、本当の自己を確立すれば、天命を知るようになります。

(朝の論語より)

真剣になれば

昔から有名な武将はみな、戦乱の巷・陣営の中に在って、暇を見つけては真剣に読書しております。つまり人間は真剣になると、初めて本当のものが出てくる、厳粛なものが出てくる。

太平無事になると、大事なものを失って、享楽的になり、ふざけた生活をするようになる。そのために益々世の中がだめになる。そうして酷い目にあって、初めて今更のように本当のものを求めるようになる。人間は苦労しないと駄目だと言うことです。

ぬくぬくと甘やかして育てられると、本当のことが分からない、また求めようとしないものであります。

(陰隲録を読むより)