新帝国主義の時代到来

帝国主義とは軍事力を背景に自民族を中心とした文化、宗教、経済、領土等の対外拡大主義である。中世にそれは世界に跋扈したが、知性と普遍性ある民主主義へと進化し第二次世界大戦で米国の世界覇権獲得により帝国主義は滅びていた。

共産主義さえ衰微し、ソ連は崩壊、中国さえ欧米の寛容ある誘導策により普通の国へと移行するかに見えた。それは西側諸国の期待でありアメリカの思い入れであり寛容さでもあった。

 

冷戦終結により、中国など共産主義国の労働者7億人は、西側市場経済労働者として参入することとなった。これにより、中国、ロシア、特に中国は、安価な賃金で製造を担当することにより、経済力を飛躍的に高め経済実力を高め保有外貨は世界一とまでなった。

力をつけた中国は、西側民主主義国の期待に反して、今回の習近平主席の終生帝王の如き権力基盤の強化に象徴されるように「独裁的、帝国主義的国家」の道を歩むこととなった。

それは、極めて野心的で、一帯一路思想、南シナ海諸島占拠に見られる如く、国際司法裁判所の判決を紙切れと称したことに端的に象徴されるように「中国主導国際法」への野望がある。これは世界制覇であり、中華を明白に目指している。

中国のこの極めて危険な台頭は「新帝国主義」と称するに豪も違和感はない。

 

ロシア、プーチンも中国同様、終生皇帝的地位を確保し独裁国家となる。大国・ロシア復活を明白に目指し、権謀術策を駆使した政治手法は、クリミヤ半島、英国でのスパイ殺人に見る如く、手段を構わぬ手法は正に帝国主義的であり独裁国家と判定できる。

しかもアメリカを超える原子力潜水艦、核弾頭を整備したと公表するなど軍事力の進化を見せつけた。アメリカは追い抜かれたとして、極超音波兵器に猛進している。

 

中国、ロシアとも西側諸国の恩恵により復活したのである。経済が成長すれば中国は変化するとみた西側自由主義国は甘い期待に終わった。中国は成果だけぎ取った。

この二大国は、独裁的トップの長期政権基盤を確立した。両国とも世界的野心に燃えて「世界的復権」を画策し、軍事力強化に邁進して地政学的野心も隠さないでおり脅威である。両国の軍事ハードパワーへの回帰は復権のシンボルである。

これらの意味するものは「民主政治、自由経済にとり試練」である。

 

そして、国際秩序の守護神・アメリカ、トランプは「アメリカ第一主義」を掲げている。

米ソ冷戦終結でのアメリカの勝利は、揺らいできた。

世界は「軸」のない混沌の地となってきた。

米国も、やっと目覚めて共和党・民主党とも「反中国」に転換したと確実に言える情勢になった。そして軍事力の大増強へ舵を切った。

 

これからの国際関係は冷戦時代より複雑となろう。

過去の米国の同盟国・トルコやサウジアラビヤはロシアプーチンにすり寄ってアメリカは中近東の場を失ったかもしれない。

 

経済でも、中国のAI進化は凄まじく、アメリカは、これからのデジタル経済覇権争いに一歩遅れているかもしれない。そのAIは恐るべきものを秘めている。

 

自国本位のこれ等の独裁者の判断ミスがもたらす災難は巨大となる。

 

これからは「秩序の見えない混沌の時代」となるのではないか。

 

かかるとき、憲法が日本の安全を守れぬ障害となっているのに、泥棒を見て縄をなう議論さえままならぬ日本は嘆かわしい。

 

平和ボケ極まった日本、本当に空恐ろしい近未来が現実化してきた。

幕末・明治の祖先の嘆きが私には聞こえる

 

      平成3042

 

   徳永日本学研究所 代表 徳永圀典