大和魂見せた哲人・イチロー

「人生の幕を下ろしたとき頂けるように励みます」、

国民栄誉賞の受賞を辞退した時のイチローの言葉である。

私は「うなった」、感動した。イチローは、やはりサムライであった。日本人の伝来の資質を存分に受け継いでいると、改めて感心した。

イチローは、努力の人物である。アメリカンリーグに入団した時、小さい、小柄な身体で、盗塁に、打球に真剣に、徹底して立ち向かい、当初の小さい日本人に何が出来るかとの現地の視線を、コツコツと、直向きに自己との戦いに勝ち成果を積み上げた。

勤勉な日本人の典型的な姿であった。誠実に同僚に向き合い、時間と共に信頼を深めて愛され、遂に尊敬を得た。

相手のチームも、否、アメリカ人も遂に奢りのない努力の天才として受け入れたのである。人間として実に素晴らしいではないか。

そして今回の日本政府の国民栄誉賞の受賞辞退の言葉である。この謙虚なイチローの資質、努力、奢りの無い態度!

イチローは、戦後失ったかに見えた、日本人の魂を、大和魂を見せつけて現代日本人の心に蘇らせた。

イチローは、哲人である。

誇らしい日本人の潜在的資質を想起させてくれた。

         徳永圀典