422日 豊かな感激性を

 感激性のない人間は、いくら頭が良くても、才があっても、燃料のない機械・設備と同じことで、一向に役に立たない。「感激の塊よ、汝をはらめる母は幸いなるかな」とダンテも言うておるが、本当にその通りであります。しかしその発憤も、孔子の場合は並みのものではない。飯を食うことも忘れてしまうのである。そこで憤を発して食を忘れる反面に、「楽しんで以て憂を忘れる」。言い換えれば余裕がなければいけない。そうして、「老の将に至らんとするを知らず」、自分が年老いてゆくことすら忘れておる。まあ、これだけのことだ。いかにも人間味豊かな、孔子その人の本質に触れておる言葉であります。  活学 第三篇