424日 貧と感激 その二

 今日では、辞引を写すなどという馬鹿はいないでしょう。なんぼでも安い金で買えるから。昔の人は写したのですね。写すということは非常な意味と効用があるのです。処でその写し方がさすが海舟らしいですね。二部写して、一部を売ってちゃんとそれで儲けておるから、なかなか利巧である。こういう所は西郷隆盛ではちょっと真似が出来ぬところでしょう。勝海舟は早業をやってのけている。