ガラガラポンが必要 鎌田実 医師・作家
10年ほど、この国のリーダーから涙が出る程の、心が揺さぶられる演説を聞いたことがない。
今、この国には物語が必要だ。物語が語られなくなってから、何度、経済対策を打っても、この国の景気はよくならない。
この国をどういう風にしたいのか、暖かな物語を語らなければならない。
政治家が言い訳しか言わなくなった。ニッポンという国の物語を語れない政治家たち。政治が漂流している。
しかし、漂流させている責任は無能な政治家だけでなく、僕たちにも間違いなくある。選挙というシステムのなかで空気に染まって投票してしまう国民、その代償は大きい。空気に負けないことだ。
国と地方の借金は832兆円から更に増え続けている。1月に日本の国債は格下げされた。不況にあえいでいるスペインよりも評価が下げられた。世界を納得させる物語が必要だ。「この辺は疎い」と自虐的に語ってしまう菅さんが、この国の物語を語れないことははっきりしている。
世界を納得させると同時に、国民を安心させ、心を暖める物語が必要だ。
小沢さんが、モノを語れるか。政治資金で土地を買ってしまう人に国民の冷えた心を鼓舞するような物語を語れるわけはない。
この人は語らないことで、パワーを作る古いタイプの政治屋だ。有罪でも無罪でも、もう彼の言葉は国民の心を揺さぶることはないだろう。退場!!
さんざん、この国を弱くて、あやふやで、冷たい国にした自民党も人材難。
どうするか。どうせ、漂流しているなら難破させてしまった方がいい。
救命ボートに乗りこむ。大連立だ。救国内閣を作る。力仕事だ。この難事業をやり抜く中で、政治家の言葉にパワーが復活してくるはず。今、必要なのはガラガラポンだ。
すぐに借金が返せるわけでない。プライマリーバランスを取りながら、成熟国家として暖かな幸せを実感できる国をどうやって作るかモノ語っていく必要がある。
その為には、心ある政治家が自民党と民主党から出て新しい政党をつくる。禁じ手だ。
政治家にとって命をかける勇気が必要。ガラガラポンをしながら、強くて、あったかくて、優しい国、ニッポンを作ることができるだろうと信じている。