六邪

@「官職に安住して高給を貪るだけで、公務に精励せず世俗に無批判に順応し、ただただ周囲の情勢をうかがっている。これが見臣である」

A「主人のいう事はみな結構といい、その行いはすべて立派といい、密かに主人の好きな事を突き止めてこれを勧め、見る物聞く物すべてよい気持ちにさせ、やたら迎合して主人と共にただ楽しんで後害を考えない、これ諛臣である」

B「本心は険悪邪悪なのに外面は小心で謹厳、口が上手で一見温和、善者や賢者を妬み嫌い、自分が推挙したい者は長所を誇張して短所を隠し失脚させたいと思う者は短所を誇張して長所を隠し、賞罰が当たらず、命令が実行されないようにしてしまう。これが姦臣である」

C「その知恵は自分の非をごまかすに十分であり、その弁舌は自分の主張を通すのに十分、家の中では骨肉を離間させ朝廷では揉め事を作り出す。これが讒臣である」

D権勢を思うがままにし、自分の都合のよいように基準を定め、自分中心の派閥を作って自分を富ませ、勝手に主人の命令を曲げ、それにより自分の地位や名誉を高める。これが賊臣である」

E佞邪を持って主人に諂い主人を不義に陥れ、仲間同士でぐるになり主人の目を晦ませ、黒白を一緒にし是非の区別を無くし、主人の悪を国中に広め、四方の国々まで聞こえさせる、これが亡国の臣

以上六つが六邪だが、倒産企業にはこの六邪がいる。六邪がいると六正は自ら失脚するか去って行くから六邪が取り仕切り倒産する。賢臣は六正の道に拠り、六邪の術を行わず、故に上安くして下治まる。生けるときは則ち楽しみ、死すると則ち思われる。これを現出するのが「人臣の術なり」で人事のことである。