4月28日 東洋的虚無観 その三

 人生の表面的なもの、形式的なもの、後天的なものに、尊重はするが決して執着しない。或いは進んでそれに本質的な価値をそれほど置かない。人の世の中のありふれたもの、生活の方便、生活の形式、そういったものに本質的な価値を置かないで根底に何かそういうものの儚さ、無力さ、無価値さを感じ、むしろ富貴に処すれば処するほど、富貴といあうものを煩わしいものとさえ考えるのであります。いかに富んでも

いかに権力の地位についても、どこかその根底に虚無的なものを持っている。これは東洋最大級の魅力です。

                 孟子