民主党の問題点  升添要一 参議院議員 

日本の政界に閉塞感が漂っている。

民主党の機能不全の第一の理由は、野党の習性が抜けきれず、統治能力を欠いているからである。 

市民のクレームを代弁する形で、例えば、近所のおばあさんの年金記録の問題を追及するのはお得意だが、持続可能な新しい年金制度を構築する力がない。 

野党の時なら、理想論を述べ立てるだけで済んだが、政権党になると、財源の手当てから始まって現実的、具体的な形で政策を立案し、それを実行に移さなければならない。 

選挙の際にマニュフェストで謳った政策が、ユートピア的な理想論が多く行き詰まっている。

そこで、与謝野馨氏を入閣させるという手まで使って現実主義に移行しようとしている。 

然し、それは公約違反を公然と行うことであり、政権交代の大義名分が無くなってしまう。 

民主党の唱える政治主導ということも、実現していない。大臣、副大臣、政務官が議論して政策を決めるというが、役人の持つ知識を活用しないで、能力が欠ける政治家のみで考えても、それは時間の浪費である。

官僚は優秀である。彼らを手足として使って自分の政策を実現したらよい。 

政界に人材が欠けているのもまた事実である。小選挙区の下で、しかも選挙に金がかかり、当選しても、゛田の草取り」に精を出さねばならないような状態で、優秀な人材が政治の世界に入ってくるのは期待し難い。

選挙制度を改革し、選挙や政治にカネがかからない制度(例えば、選挙ポスターや街宣車を廃止し、ネツト選挙にする)に変えていく必要がある。 

当面は、危機に対応する為に、政治休戦し、各分野の優秀な人材を結集した挙国一致内閣を作ることも考えられる。

然し、そのような大胆な策は、日本がもっと沈没寸前にまでならなければ、国民の受け容れるところとはなるまい。