4月30日 陰と陽 その二

 陽は陰を持って初めて陽であり、また陽があって、陰が生きるのであります。処が、どちらかというと陰は分かりにくく、陽のほうが分かり易い。従って特徴も欠陥も、即ち長短ともに陽の方が認識しやすく、陰の方が認識しにくい。そこで色々の間違いが起こるのであります。例えば、我々の大事な知、知るということを例にとりますと、知という字は陽性のものですから、発動、活動しやすい。そこら危険があってて、どうかすると知はとんでもない誤りに陥るので、知の字に?、やまいだれに入れて「ばか」という字が出来ております。
 そこで人間は、知と情と、情は結びの力ですから、これは陰です。知と情がうまく調和しておるというのが所謂、中でありますが、どちらかと言うと、陰である情の力のこもって厚いのが根本であります。知の方は派生ですから、樹木で言えば枝であり、葉であり、花であります。だから人間は、内に情が厚く、そして頭がよいというのが一番望ましい。知が情に勝つと、よほど気をつけませんと軽薄になり利己的になります。             易と人生哲学