歴史の清算を怠ったツケ むのたけじ ジャーナリスト 

社会状態を改善するには、人々の心の足並みが大切だ。その点、日本の現状はどうか。

国会は、責任のなすりあいで、私たち国民は見物人の目で賛否を言うだけだ。 

なぜこんなザマになったか。

私は1936年から今日まで75年間、ジャーナリストの道を歩いてきた。その経験から判断すると、日本の現状は、二重の要因を背負っている。 

一つは、戦後と呼ばれた時間帯の歩みだ。

もう一つは、根本の要因で、満州事変以来の15年戦争の結果だ。 

日本人は、現状を「無縁社会」と形容して悲鳴を上げているが、その状態は、まさに満州事変以来の15年戦争の末期の姿そのものだ。

戦争の理由と目的について、国民誰一人として相談も、報告も受けないで戦争体制に組み込まれしっかりと傷ついていた。従って敗北と引き換えにまともな世の中を作りたければ、必ず二つのことを実行せねばならなかった。

戦争の全てを自分らの手で裁くこと。そして中国を始め迷惑をかけた全ての国の人々に対して日本国民の心と物の全てを捧げて罪を償うべきでせあった。

実際には、軍事裁判も新憲法の草案もマッカーサーッカーサー司令部におんぶした。 

歴史の道は、人間たちがやらねばならならぬことをすっぽかして前に進むことを許さない。

だから、戦後の日本国民は、経済大国だと自画自賛したが、肝心の中身は空洞だった。

それを「水の泡」と言わず、バブルなんて横文字で誤魔化して他力依存を続けているのが現状だ。 

では、どうするか。

歴史の課題は、その本質に取り組めば、いつだってやれる。

敗戦時に取り組むべきであった戦争を裁いて、デモクラシーを貫徹させる仕事は、今でも出来る。

今こそ出来る。第三次世界大戦を防ぐために全力を注ぐことだ。

それにはアメリカともロシアとも全く対等の立場を貫き、同時に中国を始めアジアの諸国民と平和の同盟を固めることだ。がんばろうではありませんか。