苔寺 

門前に竹伐り出して西芳寺(さいほうじ)    中田余瓶 

正式には西芳寺、私の青年時代にはとても評判で度々訪れた。大仏次郎の小説「帰郷」が映画化されこの苔寺や龍安寺の石庭シーンが端緒でブームになった。 

禅寺の苔を(ついば)む小鳥哉   高浜虚子 

の句碑が門前にある。6月の梅雨頃が苔を鑑賞するのにふさわしい季節である。

苔寺の裏庭には一面に竹薮があり五月の頃には筍も見られる。門前に、蕎麦屋があり芋かけ蕎麦が美味かった。 

月明り地ににほふとき苔にほふ  水内鬼灯 

苔寺は、池の周囲を一周した。苔の小徑を縫うようにした。苔の美しさを色々の角度で見られた。

岫雲斎圀典