47日 新 その三

 素材であるところの自然の立木というものがなければ、「斧」の加えようもない。努力のしようもない。自然の立木に苦辛をして、人力を加え、技術を加えて始めて新たなるものが出来上がる。木を無視して即ち歴史伝統的存在を無視して如何なる新しい創造も有り得ないのであります。この一字でも、何が新しいかということが立派に説明されておると申していいでありましょう。      安岡正篤先生講演集