48日 禍福 その一

 どうも人間のこと、人生のことは複雑微妙でありまして、「老子」にも、「禍かと思えば福のよる所であり、福かと思えば禍の伏す所で、誰かその極みを知らん」とありますが、まことにその通りでありまして、「禍福は糾える縄の如し」という言葉もある通り、これは複雑微妙なもので、決してこれは禍である、これは福であるというように、機械的に分けることのできないものである。