岫雲斎の歌 

平成28年月4月8日未明   鶯と言葉かわしつ暁闇の
        新芽の萌ゆる杣道をゆく  
平成28年4月8日   生まれしし日もかくならむ爛漫の
        桜花に篤く母を偲びぬ 
平成28年4月9日未明   いぬならむわが呼ぶ声に応えなし
        明けてぞ吾に囁きたもれ
平成28年4月9日未明     家持も愛でたるならむ茜さす
        稲葉の山にかぎろひ見たり
平成28年4月12日未明   茜さす扇山に連ねたる因幡の
        深山いま明けなむとする
平成28年4月13日未明   八十路央 今日も日の出を山頂で
       かたじけなさに涙こぼるる
   
平成28年4月13日未明   辛夷さり桜も去りて躑躅咲く
        春は一気に駆け抜けるらし
平成28年4月16日   若葉 青葉 瞬時に萌えり全山に
          いのち讃歌の鳥も競囀
平成28年4月26日未明    友達に思いたるらし囀りや
       新緑萌ゆる林をぬけり  
平成28年4月26日未明      久方に挨拶受けり朝まだき
       一筆啓上仕り候と
  平成28年4月26日      ナナカマド花も終わりてわが友は
    いずくに行きぬ声せきとしてなし 
平成28年5月7日未明       ゲエロゲエロ生の乱舞か暁闇を
       破るが如き樹林帯  
平成28年5月7日未明

長々と話し弾めりウグイスと
山頂(やま)大樹(おおき)早朝(あさ)ひととき

平成28年5月28日 朝 笹ゆりのそばに見つけし黄いちごの
さやに甘けり 春ゆたかなり
平成28年6月2日 朝 朝焼けの大山連峰かすかなり
 
 
      あゆみし友はいかにおわすや
平成28年6月6日 朝 風も無し しじま静謐 鳥鳴かぬ 
       新緑の森に ただ独り居る
 平成29年11月2日昼

紅葉(もみじ)せし公園(その)芝生に園児らの

赤青黄帽子青空に映ゆ

 平成30年5月27日 わが命 よみがえるごと むせびたり 葉春の春の春の匂いよ

緑装の貴婦人静かにたたずめり 白き帽子のみやびに映えて