覚悟なき民主党 黒鉄ヒロシ 漫画家
夏休み前に、教師が生徒に休暇中の目標を問う。
生徒は胸を張って、あれやこれやの計画を発表する。
休みも終り、教師が成果を尋ねる。
はたして生徒は何もやっていなかった。
民主党のマニュフェストに似る。
生徒の問題点は、奈辺にありや。
深く考えずに思いつきを口にする点であろう。
深く考えないということは、言葉を大切にしない訳である。
言葉を大切にしないということは、発する以前の思想性の問題となる。
過日、必要があってナチスドイツに就いて調べて驚いた。
結党時、「綱領」が無かった。
「綱領」すなわち、政党の対策、方針、主義主張を箇条書きで示したものであるが、総じて一貫性の見えない民主党のそれが気になった。
無かった。
選挙で大忙しで作成する暇が無かったのか、党内を統一して意見がまとまらなかった所為か。
どっちにしても、党を貫く思想が無いということである。
尖閣事件での右往左往ぶりがそれを証明した。
北方四島問題では、菅総理がメドベージェフ大統領に対して「許し難い暴挙」なんぞと外交オンチを露呈する。
言葉を軽んずる総理は「許し難い」に繋がる動詞に思いが至らない。
「許し難い」からどうするというのか。
まさか、「戦争をする」ではあるまい。
鳩山元総理は「海兵隊の抑止力は方便であった」と嘯いた。
失敗、失言の悉くは予測性の欠如に拠る。
予測の甘さは思慮の浅さから生まれる。
思慮を支えるのは、如何に生きるべきか、死すべきかの覚悟である。
一体、民主党には覚悟を表明する綱領がないのだから、その言葉が軽く情けないのは致し方がない。