(でん) () (ほう)    

一、我が幸福は祖先の()(けい)、子孫の禍福は我が平生(へいぜい)所行(しょぎょう)にあること、(すで)に現代の諸学にも明らかなり。

二、平生・(おのれ)を省み、(あやまち)を改め、事理(じり)を正し、恩義を厚くすべし。百薬も一心の安きに()かず。

三、良からぬ習慣に()るべからず人生は習慣の織物と心得るべし。

四、成功は常に苦心の日に在り。敗事(はいじ)は多く得意の時に()ることを覚るべし。

五、事の前に在りては怠惰、事に当っては粗忽(そこつ)、事の後においては安逸(あんいつ)()百事(ひゃくじ)成らざる所以(ゆえん)なり。天才も要するに勤勉のみ。

六、用意周到なれば機に臨んで惑うことなし。信心積善すれば変に()うて恐るることなし。

七、不振の精神・退廃せる生活の上には、何ものをも建設する(あた)わず。永久の計は一念の()にあり。 

           安岡正篤先生