三条大橋 

三条の橋杭に鳴る春の水     高浜虚子 

ここは東海道五十三次の上りの終点であり京の都の中心である。

三条大橋の擬宝珠(ぎぼしゅ)は昔ながらのものでいかにも京の都らしい。高山彦九郎の像も戦中派の私には懐かしい。 

三条の河原とは歴史によく出ていた、平家物語「大臣殿被斬」の項にある、―――同23日、大臣殿父子の(こうべ)、都に入る。検非違使(けびいし)ども三条河原にいで(むかい)て、是を請取り、大路を渡して獄門の左の(おうち)の木にぞ懸けたりける。――― 

石川五右衛門が生きながら釜揚げにされたのもここ三条の河原であった。芝居では七条河原であるが。 

秀吉の養子、秀次が自刃し、罪無き妻妾と子供三十余人が斬られたのも三条河原であった。

京の都、加茂川の河原には多くの血が流れている。 

                 岫雲斎