人間を幸せにしない米国式経済 

今回、アメリカのシティバンクが、サブプライム損失4兆5千億円の損失穴埋めの為、41兆円相当の資産を売却して銀行再建を図るという。その前に銀行員9000人の馘首を決定している。 

メリルリンチとか、UBSとかの世界的大銀行も同様な手段で銀行の建て直しをする。 

アメリカ式経済、グローバリズムと華やかに騒いでいたマネーゲームの経済の窮極の姿である。 

ここまでの過程で何があつたか。 

1.証券化による「虚マネー」の拡大である。その窮極の証券がサブプライムである。経営トップは莫大な利益を個人のものとして遁走に近く去った。それらのまやかしの破裂である。虚の暴露であり必然の姿である。

2.証券ゲームを拡大し拡販する手段が、あの「格付け」であった。私はバブル時代、日本のメデイアが、何故あの「格付」をさも、絶対的な判定指標のように、格付会社のお先棒を担ぐように喧伝していたかを厳しく批判してきた。

3.案の定、アメリカの格付会社で最高の評価を得ていた大企業が数社倒産したではないか。

4.それは当然である。あの格付会社が判定する根拠は、アメリカの証券会社から得た資料で格付しているからである。都合のいい資料で巨額の利益を得ていたのが証券会社と格付会社である。マネー博打の胴元の手口であろう。

5.こうして見ると、日本のメデイアは、本当にいい加減なもので国民大衆を幸福にさせないばかりか不幸にする要素を持ち、そして少しも反省しないものだと納得しなくてはなるまい。メデイアは真実を流さない、実態を知らずして、自分の都合のいいものだけ流す商業が彼らの実像である。「商は詐なり」なのである。

6.話が外れたが、このようなアメリカ式経済は遂に限界点に達して、手の打ちようのない、過去の手法のゴマカシを次に転化のしようのない臨界に達してこのような結末を迎えたのである。

7.アメリカ式マネーは「虚」であると再三指摘してきた。その点、日本の銀行などは実業的本質を備えている。

8.ただ、証券会社の本質は、銀行と違う。証券会社は売買で利益を追求するから、そこに詐の発生する余地が比較的多分である。

9.故に、私は、銀行と証券とをかき混ぜて「金融機関」と称するのに異議がある。証券と銀行とは本質の部分で異なる。

10.                    証券の窮極がサブプライム問題で本質を露呈され、これで当分証券による巨利は得られないから証券ブームは去ったことになる。次なる、ズル的手法を尤もらしく発明するまで音無しで推移しよう。

11.                    金融工学とか、ディリバティヴとか、虚のゲームは必ず破綻するのである。

12.                    アメリカ式経済は「人間を幸せにしない」。ただ、それで得た巨額のマネーが残存しており、穀物とか原油に注がれて人類を不幸にしつつある。

このマネー群を消滅させる方法をアメリカが考えるかもしれない強かさも保有している。
 

平成20年5月12日 

徳永日本学研究所 代表 徳永圀典