私にそっくりな民主党 山藤章二 イラストレーター 

民主党を見ていて一番もどかしいのは、日本をどういう方向へ進めようとしているのかが分らないことである。 

特に、国家戦略とか国家的ビジョンといった「国家」が付く課題になるとお手上げ状態だ。

中でも、外交・防衛に際しての身構えに毅然とした所がまるで見られない。

最近の例では、尖閣諸島での中国、北方領土でのロシアの振る舞いに対しての菅政権は、ただ慌てふためいているばかりだった。 

この対応には、まるで自分を見ているようにイライラした。

私の中には、二人の人間がいる。

ひとりは、少年期に培われた、ヘイタイさんに憧れ、世間から「神国日本・鬼畜米英」を叩き込まれた「タカ的」日本男児である。8歳までの短期間だったが、「小児は白き糸の如し、最初の色に染まる」で国防色に染め上げられた。今でも残っている。 

もうひとりは、敗戦と同時に豊かな米国からララ物資を与えられて、コロリと染まった「ハト的」日本人である。 

この二人が同居していてある時はハトに傾いて、アイデンティティの確立しないまま老人になってしまった。 

私は今の民主党は嫌いだ。

「優柔不断」で「決断力」がない。が、これらは全て私自身にそっくり。

民主党を見ると鏡を見せられているようで近親憎悪ならぬ自己嫌悪におちいる。 

国の在り方について、民主党から明快なメッセージを発したのは蓮舫議員だけだ。「日本は二位じゃいけないんですか」---。二位でも三位でもいい。

あの悲惨な敗戦ののち国民が頑張ってここまできた。立派ではないか。これ以上何を望もうというのだ。 

今更、日本が大国にならなくても、現状がちょうど身丈に合っているではないか。

わが内なる「タカ」が時に頭をもたげることもあるが、その後70年近い「「ハト」的性格は現状の豊かな日本に満足しているのである。