一生が初心     

観世流の始祖・世阿弥(ぜあみ)の書きました「風姿(ふうし)花伝(かでん)」という名著があります。

「秘すれば花なり」は有名な言葉であります。

「初心」ということについても言及しています。 

世阿弥のいう「初心」とは、最初の気持ちではなく、

「初めての体験」のことだと思います。 

初めて体験したことを記憶に止めて、忘れないことが芸の大成の基だとするのです。 

それは、世阿弥が、

「是非によらず、修行をはじめたころの初心の芸を忘れてはならぬ」

と戒めているので分かります。 

世阿弥は、また、「一生が初心である」と言い切るのです。

それは、「毎日が初心」ということでありましょう。

毎日が初心である為には、 

「日々、新鮮な、創造的な心構えを育てることが必要かなと思います」。 

それには、

「希望」、「工夫」、「感動」であろうかと思う昨今であります。 

徳永圀典