教育の荒廃「給食の本質」 

また昨今の小学校給食について考えてみます。大変設備もよくなり、お母さん方には弁当を作る手間がはぶけて、一般には評判がよいようであります。 

然し、給食制度というものは、多くの児童に一律に同じ物を与えるわけで、そこに個々の児童に対する母親の微妙な配慮というものが無い。そこで統計を見ましても、児童の味覚が次第に麻痺しつつある。つまり味の分からぬ子供が増えつつあるということであります。 

これは重大な問題でありますが、ひとり給食だけの問題ではありません。今日のような学校教育、学校学問をやっておると、機械のような人間になってしまいそうです。 

理屈や議論は上手であるが、人間が全く分からない。人間的には出来ていないものに育ってゆきます。

大学は今や断片的知識、概念的・論理的知識の単なる伝達所のようになって、本当の学問・教育の意義を喪失してしまっております。現在のような大学教育ならば、テレビやラジオ でも十分できるということであります。 

こういうことをおしひろげてゆきますと、この人間世界、文明世界というものは、次第に混乱・破滅に向ってゆきましょう。 

今や、余りにも発達した結果、近代文明は破滅に瀕しておるということは厳然たる事実であります。

安岡正篤先生の言葉