私たちこそ反省を 阿刀田高 

大変難しい問題です。実際に政治を行った経験を持たない私には答えにくく、素人(あえてそう申します)が聞いたような台詞を吐くこと自体が昨今の世情の思慮のなさに与しているような気さえするのですが、それでは余りに情けない、思っていることを率直に綴ります。 

民主党については、一昨年の選挙で大勝し、この国に、政権交代があり得ると実証したことが快挙であり、それ以外は元々余り大きな期待を持ちませんでした。必死に頑張って玉砕しかないでしょう。目下の政情は民主党がどうこうと言うより、この国の閉塞状態を反映したものであって、誰が中心となっても中々うまくいかないでしょう。 

根本は、私たち国民がダメなのです。 

まさに、これだけの国民には、これだけの政治、という至言の通りだと思います。

みんな政治の拙さを非難しますが、それを選んだのは私たち国民にほかなりません。テレビのトーク番組などでね政府への批判は厳しく言われますが、画面の中から「今テレビを見ているあなたが愚かなのです」という発言は滅多に聞きません。視聴者におもねているのと違いますか。

現下の混迷の直接的原因である与党の過半数割れだって、これは民意ですよね。国民が一人ひとりの判断は兎も角、選挙の総意として過半数割れでよしと決定したのです。その限りでは菅直人総理もお気の毒ですね。ひどい人ばかりじゃありませんが、テレビでちょっと顔が売れたくらいで急に政治家になったりして・・・滑稽なくらいです。

当分は苦しい状態が続くでしょう。国民が賢くならなければいけません。それから経済は国にとっても個人にとっても、とても大切な課題でしょうが、お金、お金、お金、この欲望をもう少し反省する必要があるのではないでしょうか。

人間として、どう生きるか、夫々がそこから出発して少しずつ状況を良くしていくより外はないでしょう。長い道のりです。