528日 敬する

 幼にして長に事えないということは、いとけなくして敬することを知らないということになる。敬というものは、カントの道徳学にしても、これを一つの基本にしておるのでありますが、人はみな愛だけを説いて、敬を忘れている。人間が動物から進化してきた一つの原動力は、愛と同時に敬する心を持つようになったことであります。現実に満足しない則ち無限の進歩向上を欲する精神的機能が発して敬の心になる。換言すれば、現実に甘んじないで、より高きもの、より貴きものを求めるという心が敬であります。「賤にして・・」も「不肖にして・・」も要するに同じことであります。

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