一物と「思考の三原則」 

一物(いちぶつ)の是非を見て而て大体の是非を問わず。

一時の利害に拘はりて而して久遠(くおん)の利害を察せず。(まつりごと)為す此の如くんば国危し」。 

かってものをみるのに「三つの原則」があるという事をお話したことがあります。 

一つには、出来るだけ目先に囚われないで、長い目でみる。 

二つには、出来るだけ一面に囚われないで、多面的に、出来得れば全面的にみる。 

三つには、枝葉末節に渡らないで根本的にみる。この三つであります。 

そこで一物の是非を見て大体の是非を問わない、一時の利害に拘わって先々の利害を察しないということは、つまり全面的に見ない、長い目で見ない、根本的に見ないということです。こういう調子で政治をやると、国が危いのも当たり前であります。 

安岡正篤先生の言葉