58日 アナタの一語の電報

 1947年正月、南極体験隊の昭和基地での越冬生活中、全員をシュンとさせたのは、ある隊員の国許の夫人からきた、アナタというたった一語の電報であった。たった一語、千万無量の思いである。これ以上の表現はない。

今日、心ある日本国民は、みなこの、あなた!と言いたい宰相を欲しているのである。あなた!と言いたい救世主、頼む御方を欲しているのである。そして、俺が俺がというものばかりにウンザリしている。そんな俺がてばダメ。あなたと呼びたい人がない以上、わたしは、わたしでやってゆく。せめて、わたしの一隅を照らす。あなたもそうですか。それは嬉しい。これが一燈照隅であり、やがて万燈照国にもなろう。即ち今はこれしかないのである。