進取の気性を取り戻せ 城繁幸 コンサルタント 

@民主党政権はなぜ何も出来なかったのか。

末期の自民党と同様、民主党政権は、支持層の御用聞き能力しか持っていない。

山積する課題に答えを出せずにいるのは、それら全てが民主党のお客様に痛みを伴うものだからだ。 

民主党が政党として機能するためには、顧客の走り使いをするエージェントではなく、課題と解決策を提示した上でそちらに誘導するコンサルタント能力を持つしかない。 

取り敢えずは、行政の無駄で財源は賄えなかっただから、自分たちの理想とする社会保障と、その為に必要な増税の水準を示して民意を問うのが筋だろう。 

A五里霧中のワケ

産業構造から税制、社会保障制度まで、誤魔化し、誤魔化し維持し続けてきたあらゆるシステムが機能不全を起している。

これらを全部リセットして作り直す以外に脱出方法はない。

処が、政権交代後、政治の場で一向にこうした議論がなされていない。

理由は単純で、国民の側にそうした議論を受け容れる余地がないためだ。政治のリーダシップ不足は明らかだが、それだけ全てが解決するわけではない。

 権利と義務について近代的な議論を経ないまま、なし崩し的に民主主義を与えられた日本人は、これから痛みと共にそれを学ぶ必要があるのかもしれない。

B日本の財産、必要となる能力とは古代より、日本は常に外部から新しい価値観や文物を取り入れ、消化していく柔軟さがあった。明治以降の発展も他のアジア諸国よりその点で優れていたためだ。処が、そう言った進取の気性が社会全体から急速に衰えているのを強く感じる。

いまだに階級闘争で全てが解決すると信じている左派は論外だが、保守の中にも頑迷固陋ぶりが目に余る。徹底した規制緩和と自由化の中で勝利する道を探ることこそ国益であり、既得権と無価値な慣習にしがみつくのは単なる老害だ。

今こそ、日本人は「保守せんがために改革する」というパークの言葉を思い出すべきであろう。