米ドルの行方
金が連日のように高騰し続けている。ドルが対円で安くなっている。当分続くであろう。依然として米国の経常赤字の垂れ流しが続いているからだ。
世界の人口の5パーセントに過ぎない米国人は地球の資源の30−40パーセントを消費していると言う。
一体、アメリカはどう進むのか。私には分からない。
中国が台頭しつつあり、現在の先進国をモデルにした経済体制を中国が希求し続けるとなれば、資源と環境問題で地球は破滅的になることは容易に予測できる。
ここで思いだすのは、20年前、ショッキングであったプラザ合意による円の一挙高である。
現在の米国の経常赤字の規模――GDP比 7l
20年前のプラザ合意時の規模――GDP比 3l弱
これでは、対外不均衡が深刻化し大幅なドル下落が生じても不思議ではない。
プラザ合意時代の基軸通貨―――米ドルのみ。
現在の基軸通貨――――――――米ドルとユー・ロー。
プラザ合意時のマネー保有者――米国・欧州・日本。
現在のマネー大口保有者の特徴――中国・アラブが加わる。
プラザ合意時の政治体制――米国・日本・EUの身内。
現在の政治体制――米国と中国、米国とアラブの対立激化。
特に9.11以降、米国とアラブの対立は戦争を惹起。
政治・人権に関して中国・アラブと対立が激しい。
過去1年間、中国の米国石油会社買収、ドバイも同様な動きがあった。
中国やアラブのマネーのドル離れの環境が整い加速的になりつつある。そして、ユー・ローはマネーの受け皿として十分な資格を備えつつある。
北朝鮮のニセ弗紙幣でマネー洗浄のため、アメリカによるマカオ銀行の預金封鎖があった。これはアラブ諸国に恐怖の連想が起き得る、アラブの持つドルの封鎖懸念である。
今や、世界経済の重点がアジアなど新興国に移動しつつある。既往の世界マネーの秩序はIMFやGセブン国だが、新興国は彼等を先進国クラブとみなして提言や分析に耳を傾ける必要はないという方向に進んでいるのではないか。中国を筆頭にしてである。
欧米や中国は、今の世界経済の不均衡は既に維持可能ではないとの前提で問題意識を所有しているように思える。
中国が経済成長8lを続けるとすれば、2031年には一人当たりの所得水準は現在のアメリカと同じにまで到達する。
その時、中国の石油消費量は一日9900万バーレルと予測されるという。
世界の現在の一日あたり石油生産量は8400万バーレルであり脅威の予測が存在する。
まして、インドも成長が見込まれる。そうなると地球の資源は絶対に持たない。
人類は、明白な生存を賭した未来予測の射程距離圏に突入した。
さて、どうするか、「新しいシステム」の早期開発しかない。
それは、「新エネルギーによる経済システム」ということではないか。
いずれにしても、日本は対ドル一段の円高は必至ではないか。
平成18年5月14日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典