断絶の無い稀有(けう)日本歴史 

ストロースは言う「西欧は古代ギリシャ・ローマ時代を精神的故郷と思っているが、現在の西欧文明とは本質的に別の社会・文化である。過去との継続性が無く溝がある」。 

処が、日本は神話時代からの長い歴史の継続がある上に民族文化が今尚行き続けており、過去と現在が繋がっている。その事に心ある西欧人は驚く感嘆しているが日本人には当たり前で自らの価値を感じていない。 

日本の古代からの、どの時代の建造物、芸術、書物、短歌などに日本人は少しも違和感も溝も感じない。

寧ろ懐かしく(いにしえ)からの連綿たる文化を肌で味わい心の安らぎを得ている。 

日本人は、神社は最近出来たものと思わず古代からのものと感じている。日本には、1000年以上続いている旧家も多数ある。 

至る所で途切れない古代との連続性、これは実に素晴らしい日本の伝統で大切にして行かねばならぬものである。 

レヴィ・ストロースはユダヤ人であり、本来ならば聖地パレスチナに感動すべきなのであるが、ダビデの神殿跡やベツレヘムの洞窟、キリストの聖墓、ラザロの墓よりも感動したのが日本だというのだ。 

瓊瓊(にに)(ぎの)(みこと)の天下った霧島の山や、大日?(おおひるめの)(むち)即ち天照大神が身を隠した洞窟の前にある(あまの)岩戸(いわと)神社に深い感動を覚えている 

それは何故であろうか。私の潮流寄稿に「神様は森と水」にパルテノン神殿は単なる廃墟だと書いた。日本の神社は生きていると。 

当にその通りを物の分かる西欧人も感じたのである。 

要するにイスラエル、パレスチナの遺物は現在と隔絶された単なる遺跡で、過去のものであるが、日本の神社、遺物は太古より現在まで連綿と生きて現存していると感動したのである。 

西欧人は、更に、神様の末裔(まつえい)の天皇がなお連綿として続き存在している事を知り驚嘆するのである。 

これらに価値観を覚え日本人の矜持の源泉としたいものである。 

平成20年6月1 

徳永日本学研究所 代表 徳永圀典