思考や論理から出たものでなく、在るがままの現実から得たものを。

                滅びさったものに感傷を抱くことに仏教は無縁、

       地上にあるものが無常の劫火(ごうか)に焼かれて滅ぶ(すがた)

       在るがままに見ているにすぎない。

在るがままの現実

 

      再び戻らぬから死を悲しむのは無益、

      「もう私の力の及ばぬもの」と悟り、悲観から去るしかない。

      霊魂は実在するのか、死後の世界が在るかどおかを推論するのは分別、

      この分別を超えた世界を覚者のみが観た。         

                                      岫雲斎