今こそ憲法改正を 松沢茂文  

日本社会の低迷、停滞が叫ばれて久しいが、その対応策は一時しのぎの弥縫策に止まっており脱却の糸口さえ掴めていない。

総理や閣僚が毎年のように交代し、政局ばかりの衆愚政治が繰り返されている現状は、国益を大きく損ねている。

現在、憲法改正論議はタブー視されているようだが、政治の指導力を回復し、国際社会をリードするためには、憲法改正こそが避けて通れない最重要課題である。日本社会再生のために憲法改正を本気で実現するのであれば、大連立も国民は容認するだろう。改正すべき項目は多岐に渡るがその中でも、特に政治の根本的改革として、幾つか提案したい。

一つ目は、国のリーダーに信任と安定を与える「首相公選制」を導入することである。マニュフェストを例にしても、国政選挙のものに比べ、地方の首長のものの方がはるかに実現性と実効性が高い。直接選挙で住民から信任を得たという首長の自負と四年間の任期の保証が高い政策実行力の源となっている。首相を直接選挙することで、国民の政治への参加意欲と責任感も高まることだろう。

二つ目は、二院制の持つ「ねじれ」という欠陥の防止である。この数年、衆議院と参議院の勢力が逆転する「ねじれ国会」が常態化し、両院間の調整が容易に進まず、政治が混迷している。この際、一院制を採用することも選択肢の一つであろう。また二院制を維持する場合でも、地方分権国家を目指すため、参議院は地方の代表で構成し、福祉や生活に密着した論議をする。一方で、衆議院には外交・防衛・マクロの経済・国家財政などの国家的課題の審議に優先権を与え両院を棲み分けさせるべきである。

三つ目は、憲法に地方分権国家の確立と、国と地方の役割分担を明確に規定することである。小さな中央政府と活力ある地方政府を作り、国内外の課題に迅速に対応し得る国家体制にしなければならない。

この国の将来を展望するなら、こうした政治制度の根本的改革を断行すべきである。今こそ、憲法を抜本的に見直し日本を再生させる時なのだ。