オバマ氏「日米は同盟国、認識を」と中国を牽制 
           中国の新型大国論、会談時に牽制

              2013.6.13 産経新聞 

7日、米カリフォルニア州パームスプリングズ近郊で行われた米中首脳会談で向き合うオバマ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(AP)

 オバマ米大統領が7、8両日に米カリフォルニア州で行われた米中首脳会談で「まず中国側は、日本が米国の同盟国であることを認識する必要がある」と発言していたことが12日、分かった。習近平国家主席が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を主張し、歴史問題について自説を繰り返したのに対し、オバマ氏が同盟関係に言及して強くくぎを刺し、日本への軍事的挑戦は認めないという立場を改めて表明した形だ。複数の政府高官が明らかにした。

 また、オバマ氏が会談で「米国は、日本と日本の民主主義を完全に信頼している。日本は成熟した民主主義国だ」と述べたことも判明した。習氏が「太平洋には米中という2つの大国を収めるに足りる十分な空間が存在する」と述べるなど、米中が共存・共栄する「新型大国関係」の意義を説いたのに対し、オバマ氏は民主主義、人権などの価値観を共有する日本への信頼感を強調することで牽制(けんせい)したものとみられる。

 現在、尖閣諸島周辺では中国海軍艦艇や国家海洋局所属の公船などが活発に活動して日本への挑発を繰り返している。そんな緊張下でのオバマ氏の「同盟」発言は、尖閣諸島が米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であることを中国トップに認識させる意味があり、日本政府は歓迎している。

2日間計8時間に及んだ会談では、習氏が約40分にわたり尖閣や歴史問題に関する中国の主張を一方的に述べ続けたり、1時間にわたりペーパーを読み上げながら同様の発言を行ったりするなど、何とか米国を自国側に取り込もうとする態度が顕著だった。オバマ氏は、そうした中国側の前のめりの姿勢に同調しなかったといえる。

 会談後、米政府は複数の外交ルートで日本側に会談内容を伝えてきた。菅義偉官房長官は10日の記者会見で、尖閣をめぐる米中のやりとりについて「米側はわが国の立場を踏まえながら対応している」と述べた。

 また、習氏が尖閣諸島を「中国固有の領土」と主張した上で、中国の譲れない国益を意味する「核心的利益」だとの認識を表明したとの見方もあった。ただ、この点に関し菅氏は12日の記者会見で「中国側から尖閣諸島と核心的利益を直接結びつける発言はなかったと承知している」と否定した上で、「米国とは緊密に連携している」と改めて強調した。