道徳教育は五歳までに 柴門ふみ 

1868年明治政府が発令した神仏分離令がきっかけになり、全国に廃仏毀釈運動が起こった。おかげで大量の仏像が破壊され或は難を逃れるために海外に渡った。なんと勿体ないことであるかと、仏像好きの私は返す返す口惜しい。

538年の仏教伝来以降、日本人のDNAに仏教は深く沁み込んでいるはずだ。明治政府が、やいのやいの言ってた処で損われる程のヤワなものではない。今でも「仏様のバチがあたる」、「あ〜。極楽、極楽」と言った言葉が無意識に口につくではないか。

だから、日本で日本人の親に育てられた普通の日本人である限り、(救い)(慈愛)の宗教である仏教に体が馴染んでいることを認めてはどうだろうか。

子供に、殺人がなぜいけないのか説明できない親が増えている。という記事を読んだことがある。

その時、私は思った。子供に説明など、無用。

「人を殺したら地獄に行って、血の池地獄や、針の山で、イタイイタイ目にあうんだからね」そう言ってリアルな地獄絵を見せればよいだけではないか。

現代の子供たちは、これほどの情報時代に生きながらも、小学校低学年までの児童のほとんどが、サンタクロースの存在を信じている。要するに、子供なんて子供だましにコロッと引っかかるのである。だから、地獄も簡単に信じ込むはずだ。

つまり、五歳までの子供たちに地獄絵教育を「悪いことをすれば、地獄に落ちる」と心に恐怖をたたきこめばトラウマとなって悪事の抑制力になるのではないか、というのが私の考えである。

人を殺すな。物を盗むな。嘘をつくな。最低この三つさえたたきこめば、道徳教育は八割すんだも同然だと思う。地獄なんて科学的に実証されていない迷信だと切り捨てないで地獄絵を日本人の道徳教科書として守り続けて欲しい。