自然訓 

一、人は一の自然である。我々は自然の如く真実でなければならぬ。

二、自然はすこやか()である。我々も常に怠ることなく努めよう。

三、自然は造化である。我々もかたくな(固陋(ころう))にならず、一生自己を進化してゆこう。

四、自然は無限である。我々も大海(たいかい)虚空(こくう)の如く(しん)(きょう)を開こう。

五、自然は(えん)(つう)である。我々も万物一体の(みょう)()を学んで、安心立命(あんじんりつめい)を深めよう。 

 

神こそは野をも山をも作りおけ 人に誠の道をふめとて  (藤原基家) 

天地(てんち)開闢(かいびゃく)の心構え、即ち機前(きぜん)を以て心と為し、大元(だいげん)大本(おおもと)(たい)(しょ)(たっと)び、俗気(ぞっけ)(しりぞ)けて、神気(しんき)()め、正直(せいちょく)・清浄を行じてゆくのが日本の神道である。

文明と人間の救われる大教(だいきょう)である。 

            安岡正篤