命は「みこと」「尊」 

命を正しく解して、自ら省みて人を咎めず、棺を蓋うてこと定まる、

百年知己を持つ、いな、それよりも天を相手として努力することを

知命(ちめい)」、「立命(りつめい)」という。

(めい)を知り(いのち)を立つる人を「みこと」

と言って命という字を適用する。

「みこと」をまた「(みこと)」とも書く。

日本人の祖先はみな(みこと)であり(みこと)であった。

現代人は実に祖先を(はずかし)むる者である。

いずれも単なる「物」に堕している。


安岡正篤先生 経世瑣(けいせいさ)(ごん)より