628日 大患

 中村は田舎にて候へども、高知もまた都にては無之候(これなくそうろう)。只少しにても精力有中(あるうち)に書をよみ習ひ不申(もうさず)、道をさとり不申、老大に至り何の楽も無く、づき死に死候事、(これ)俗人の大患にて候。ここに心得有之(これあり)候はば、中村は申すに不及(およばず)、沖島にても都たるべく候。少々にても心得あれば、一日の日も面白く暮らす所有之(これあり)候。油断(ある)まじく候。  谷泰山