徳永圀典の「近現代史」講義 その七

日本の産業革命考
    

日清戦争の年代に第一次基礎的産業革命、日露戦争を挟んだ時代に製鉄・造船・機械・化学等重工業中心を第二次。そして第一次世界大戦を経て日本の産業革命は完成したと言える。
その特色は、1.極めて短期間に急速に成立した事。2.欧米諸国より機械・技術・制度などを導入移植して発達し自生的でない事。3.国家権力の保護育成の元に成長発展した事。4三菱など.政商を中心とする産業資本が主たる担い手である事。5.工業の発展が不均衡で大企業傘下の中小企業が広汎に残存した事。6.軍事・輸出産業の比重が大きい事。7.農業が小農経営中心であった事。8.女子労働者の比重が高く労働条件が劣悪であった事。9.国内市場が狭隘で海外依存度が大であった事等であろう。然し、江戸時代からの人的インフラは均一で極めて高く条件さえ整えば高い発展力を秘めていた。戦後に一挙に政治経済条件が満たされて一大成長を遂げて世界トップの金融資産を得るまでに至ったと言える。然しながら高度成長後、教育の劣悪とチャレンジマインドの大幅低下により壮青少年の伝統的資質は大きく失われつつあり近未来に大きな不安を秘めている。

閑話休題

白人侵略5百年俯瞰1.     

日露戦争は明治37-38年、幕末から早や40年経過していた。白人ロシア大国に勝利した日本。
ここらで現代日本人は頭を冷やして巨視的に、世界歴史を地球規模で見直してみる必要がある。
近世世界史をコロンブスのアメリカ大陸発見から今日迄の5百年を鳥瞰すると、人類が歩んだ歴史が明白に見える。歴史のスパンを5百年の長さで、地理的空間をグローバルに観察してみなくてはならない。ここに人類の歴史の真実が手にとるように浮かぶのである。このスパンで見たものの延長線上に先の大東亜戦争を位置付けて見ると日本の存在の人類的意義の重大さが明白に見える。この巨視的な歴史観で見れば、近年の隣国等の雑音は顕微鏡的なもので人類の歴史の本質から程遠い問題であると知るべきである。

白人侵略5百年俯瞰2      

この5百年間の世界侵略の主役16世紀はスペインとポルトガル、17世紀はオランダが、18世紀は英国とフランスが主役でロシアが加わり19世紀になるとヨーロッパ諸国は一斉にアフリカ大陸に植民地争奪戦をやり線引きで切り取ってしまった。アフリカ原住民は白人の奴隷商人に狩り集められ家畜として売買されアメリカ大陸の労働力にさせられている。19世紀中頃には世界の地図上の目ぼしい領土は殆ど白人の植民地になっていたのだ。幕末にはアジアも全て白人のもので、残っていたのは日本くらいしかなかった。これは歴史的事実であり日本人は心に銘記してよいと思われる。人類に正世界史があれば人類の汚点として銘記されて良いであろう。

 

白人侵略5百年俯瞰3      

米国のペリーが四隻の船で日本に開港を脅迫したのは嘉永6-1853年、前後してロシアが蝦夷現在の北海道に現れ、長崎にもきて迫っている。アヘン戦争で中国に勝利した英国の次の侵略目標が日本であることは間違いなかった。このように幕末の日本は虎視眈々と、東から米国、北からロシア、西から英国とフランスが食指を延ばしてきていた大国難の時代であった。これで日露戦争勝利の意義は極めて高いのだ。不幸だが朝鮮半島の日本併合はこの人類的視野で記憶されるべきであろう。白人の世界侵略を阻止したこの対ロ勝利の世界人類史的に意味するもの、日本人の勇気と気概は子孫に伝え欧米諸国との交際に忘れてはならない事と思われる。和魂に洋才こそが望まれるのである。

白人侵略5百年俯瞰4
アムステルダム市長の知性       平成3年「日本傷痍軍人会代表団」が先の戦争の敵国であったオランダを訪問した。同国の傷痍軍人代表と首都アムステルダム市長主催の親善パーティに招待されました。その時の市長の歓迎挨拶があります。実に良心的で大東亜戦争の真実を語りました。
「貴方がた日本は、先の大戦で負けて、勝った私どもオランダ人は勝って大敗しました。今、日本は世界一、二を争う経済大国になりました。私たちオランダ人はその間屈辱の連続でした。即ち勝ったはずなのに、世界一の貧乏国になりました。戦前はアジアに本国の36倍もの大きな植民地インドネシアがあり、石油等の資源産物で本国は栄耀栄華を極めていました。今のオランダは日本の九州と同じ広さの本国だけとなりました。あなた方日本はアジア各地で侵略戦争を起こして申し訳ない、諸民族に大変迷惑をかけたと自分をさげすみ、ペコペコ謝罪していますが、これは間違いです。あなた方こそ、自らの血を流して東亜民族を解放し、救い出す、それは人類最高の良いことをしたのです。なぜなら、あなたの国の人々は、過去の歴史の真実を目隠しされて、今次大戦の目先のことのみ取り上げ、或いは洗脳され、悪い事をしたと、自分で悪者になっているが、ここで歴史を振り返って見つめる必要があるでしよう。
本当は白人が悪いのです。百年も三百年も前から競って武力で東亜民族を征服し、自分の領土として勢力下にしました。植民地や属領にされて永い間と奴隷的に酷使されていた東亜民族を解放し、共に繁栄しようと理想を掲げて、大東亜戦争という旗印で立ち上ったのが貴国日本だったはずでしょう。
本当に悪いのは侵略して権力を振るっていた西欧人の方です。日本は敗戦しましたが、その東亜の解放は実現しました。即ち日本軍は戦勝国の全てを東亜から追放して終わりました。その結果アジア諸民族は各々独立を達成しました。日本の功績は偉大です。血を流して闘ったあなた方こそ最高の功労者です。自分をさげすむのを止めて、堂々と胸を張って、その誇りを取り戻すべきです。」日本人は自信を取り戻さなくては21世紀は無い。