佐藤一斎 言志耋録

克己の工夫

気象を理会するは、便(すなわ)ち是れ克己の工夫なり。語黙動止(ごもくどうし)()べて(とっ)(こう)なるを要し、和平なるを要し、舒緩(じょかん)なるを要す。粗暴なること勿れ。激烈なること勿れ。急速なること勿れ。

岫雲斎

自分の気性を把握することが、即ち己に克つ工夫となる。語るのも、黙するのも、動くのも、総て丁寧に親切、穏やか、ゆるやかであることが肝要である。荒々しくしてはいけない。烈しいのはよくない。気ぜわしいのもよくないのである。