67日 大人の天下 その二

 自分の才能や知能は内におさめて、無きが如く虚しが如くし、人の過失を見ては、しばらくこれを許して覆い匿してやる。それは一つには、自分から過を改められるように余地を与えてやるためであり、ま一つには、人間には誰しも己を省みて悪いところを忌み嫌う、即ち良心というものがあるから、それをかきたててやって我儘勝手なことをしないようにさせるためである。