6月8日 大人の天下 その三

 またその人間にたとえ小さくとも長所なり、善行なりがうるのを見つけたならば、さっぱりと自分を捨ててその長所・善所に従ってやり、かついかにも美しく羨まし気に褒め上げて、広くこれを語り伝えてやる。うしておいて、およそ日常生活の間に何を言うにも何事を行なうにも、一切自分のためにという考えを起さず、万物のために則を立てるようにしなければならない。これが大人の天下を公となす法則である。

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