お天気屋

天気予報が当たらぬことが酷いと思うのは私だけではあるまい。コンピューター計測より人間的な観天望気の方が正解の場合が多い。だが日本の気候風土を調べると無理からぬかとも思える。北半球の日本、風が西から東へと吹く。大陸の東海岸は風上の大陸内部の乾燥した砂漠や草原の影響を受けるから極めて厳しい東岸気候で旧満州、華北、朝鮮半島の冬は零下30度となる。米国西岸は海洋の影響を受けて穏やかな気候に恵まれている。

日本は大陸の東であるが、海を介し、かつ暖流・対馬海流のお陰で気候が和らげられ西岸気候の恩恵も受けている。かてて加え、冬と夏の季節には方向の変わる季節風の影響を受け、冬は大陸性気候、夏は海洋性気候と鮮やかな変化もある。

日本は小さい国だが東西南北で多様な気象風土となっている。北と南、表日本と裏日本、それぞれ鮮やかな対比があり、山の国とか海の国、湖の国とか盆地の国など様々な郷土を生んでいる。日本は大陸とか草原とか砂漠の国には見られない複雑、多様な国土の故に常に天気が不安定となるのであろう。

天気予報が当たらぬことは昔かららしく、天気予報は「当たらぬことの代名詞」となっている。天の気は定め難いとし、その日の気象に「天気」という言葉を当てている国は世界でも珍しいという。あの人は「お天気屋」だ、今日は「あのオヤジ、お天気具合が悪いぞ」とか、天気が人の機嫌を推し量る計測計にさえなっている。日本では天気が定め難い,当てにならぬものの代名詞にされているのだ、それ程難しい気象条件なのであろう、余り当たらぬのも仕方がないか。

   徳永圀典