デモクレィジー  骨抜きにされた日本 

敗戦して、敵軍アメリカが進駐し、日本を管理しましたが、アメリカは文明国という看板をかけた紳士の国でありましたから、日本管理政策というものは表向き大変穏かであり、寧ろ或る意味では相当日本を助けてくれました。 

ただその占領政策は3R、5D、3Sと言われる深刻且つ巧妙な政策でありまして、これによって日本はすっかり骨抜きにされてしまって、今日見られるような一部の頽廃・堕落と意気地のない人間を生んだ原因となったことは、かって詳しく話をしたことであります。 

然し、それは言わば巧妙な内科的治療で、酷い外科手術ではありませんでしたので、日本人はあまり自覚的にこの占領政策を批判するとか反省するとかいうことがありませんでした。

そうしてヨーロッパ諸国に比べますと、比較にならぬほど平穏裡に敗戦から復興したわけです。 

甘い日本人の遠因

だから、どうしても日本人は甘くなります。アメリカから投げ与えられたデモクラシーというものを無反省・無批判に遵奉し、或はこれを利用・悪用して今日の結果に陥ったというわけであります。 

だからそのデモクラシーを日本に投げ与えたアメリカ当局者が後になって、日本人はデモクラシーの一字を間違えて、シに濁点を打ってジにしてしまった。 

デモクレィジー

即ち、democracy を democrazy にしてしまった。 

クレイジィーは気狂いという字でありますから、つまりデモ狂にしてしまったというわけで、彼らはプレスクラブで語りあって大笑いしたというような話がありますが、本当に今日の日本はデモクレィジーに陥っております。 

安岡正篤先生の言葉