@他に心を奪われず、泰然として自己の信ずる道を守って動かぬ。

A外の物ごとに(とん)(じゃく)しない一方に貧着(とんじゃく)すると必ず他の注意を欠く。

油断や恐怖はこんなときに起きる。

B自分の才智を(たの)み、あれこれ策を樹てるな。常時も非常時も平然として、

心を(いつ)にしておれば、いかなる異変に遭遇しても、霊妙なる作略(さりゃく)が生まれる。

自己整頓の心得

C心で見る物量を拡大せよ。心の視界が狭小だと胆量もまた自然に少量になる。

D勇気を持ち、勇猛の心意気は白刃(はくじん)をも踏む。反対に柔懦(じゅうだ)の身体では、

窓のすきま風にも耐えられない。常に心身を鍛えよ。 

 岫雲斎