7月12日 隠君子
この詩、弘法大師の「後夜仏法僧鳥を聞く」の作と脈々と相通ずるものがある。曰く「閑林独坐草堂暁、三宝之声聞一鳥、一鳥有声人有心 声心雲水俱了々」。
心月両ながら相照し、清夜長く相尋ぬなど一誦神往(いちじゅしんおう)の感がある。真山民は大儒真西山の後と言われる隠者的詩人であるが、「真山民詩集」一巻、中に司馬光門下の至誠剛骨の士・劉元城を詠じた詩や、この「山中の月」と共に、山中の雲や松や梅を詠じている風骨はゆかしいものがある。日本の山野にもこういう教養の高い隠君子が欲しいものである。 百朝集