社会的実践こそ「良知の発現」

王陽明は、良知の発現に就いて説く。天地万物は、人間である「我」と一体のものである。だから、他人の困難や苦痛、害毒は、我が心身の切実な痛みでもある。他人を含む天地と一体化した心が良知であると。この良知は聖人や愚人の区別はない全ての人間にあると説く。

1 .他人を見ること自分を見る如く、

2. 国を見ること我が家を見る如く。

3. 人の善行を見て我がことの如く喜び、

4. 人の悪を見て、自分の事の如く恐れ、

5. 国民の飢えを見て、自分の飢えの如く思って、

行動すれば良いとした。

これらが良知から出た人間の真理であり、天地の摂理であるとした。

陽明学では、良知は個人の道徳的完成をもたらすと共に、社会的に実践することで、その働きが全うするとした。陽明学の最大の特徴は「社会的実践」、「社会的改革の使命」が生じてくることとなるのである。実践を中心とする行動原理である。